私たちの生活に関わることが2020年で大きく変わります。
エコ意識の高いフランスでは2020年1月1日から、世界で初めて法律で使い捨てプラスチック製品が使用禁止されるんです。
私たちの生活に欠かせないプラスチック製品がどんどんなくなっていきます。フランス人はマックのコーラをストローなしで飲んでいます。
使い捨てプラスチック製品の禁止
2015年に国連気候変動会議が開催され、温暖化対策の国際的な合意「パリ協定」を採択したフランスは、気候変動に関する取り組みに積極的に取り組んでいます。
2016年7月にはプラスチック製のレジ袋の使用が禁止され、国民全体がエコを意識していきているのを感じます。
普段の生活でもプラスチックのボトルより再生率の高いビンのボトルを選んだり、空になった容器を持っていれば中身だけを買うことのできる洗剤を選ぶなど、地球のことを考えて生活しています。
今年から始まった使い捨てプラスチック使用禁止の施行令は、これらのプラスチック製品を放棄することを決定した2018年10月のエガリム法の規定に従っています。
この法令は「使い捨てプラスチック製品」とは何であるかを明確に定義していて、
「それが使用された製品と同じ用途に再利用するために設計、作成、または市場に出されていないプラスチック製品」
を使い捨てプラスチック製品であるとしています。
使い捨て容器を作る企業は今年までに、使い捨て容器や食器を、微生物によって分解され家庭用生ごみ処理機で堆肥にできるもの、もしくは原材料の一部が生物由来の資源を使っているものに変えなければいけないとされてきました。
去年の暮れにマクドナルドに行ったらジュースのカップがストローなしの紙カップになっていたのは驚きでした。
直接口からホットコーヒーみたいコーラを飲む
フランスのニュースサイト「Les Echos」では、フランスでは毎年約47億個のプラスチック製カップが捨てられていると伝えています。そのうち24億個が埋立地に、16億個が焼却に、そしてリサイクルされるのは約1%だそうです。
禁止となる主な特定使い捨てプラスチック製品はこちら
- カップ
- 皿
- ストロー
- ナイフやフォークなどのカトラリー
- ステーキ用ピック
- グラス用ふた
- ミールトレー
- アイスクリームカップ
- サラダボウル
- ボックス型容器
- ドリンク用マドラー
- 学校の食堂で使うプラスチック製の水ボトル
など。
一部のカフェではすでに紙のストローが置かれていました。ストローの噛み癖のある人はすぐにふにゃふにゃになっちゃうので注意!
周りには金属でできたマイストローを持ち歩く人もちらほら。
禁止令は2020年1月1日に発効しますが、以前に製造または輸入されたものであれば、この日付から6か月の在庫流出期間があります。
使い捨てプラスチック製品でも堆肥化可能で、少なくとも50%のバイオベース材料を含むものは、2021年7月3日までとされています。
刑務所、健康施設、航空、鉄道、海上輸送で使用されるナイフやフォークなどのカトラリーも、 2021年7月3日まで。
参照:20minutes.fr
プラスチックによる環境汚染
もうすでにみなさん、知ってるかと思いますがおさらいです。
世界中で「海洋ゴミ」が問題視されており、その中でも「マイクロプラスチック」と呼ばれる細かいプラスチックによる人体への悪影響が懸念されていました。具体的には、「マイクロプラスチック」を吸い込んだ小魚を大きい魚が食べ、有害な物質が濃縮され、それを人間が食べてしまう可能性があることが指摘され、プラスチックによる環境への負荷を減らそうという姿勢が強まってきています。
東京農工大学農学部環境資源科学科の研究では、東京湾の埠頭で釣ったカタクチイワシを調べたところ、8割の魚の消化管の中から様々なプラスチック片が出てきたらしいです。
これは完全にプラスチック食べちゃってますね。私たち
マイクロプラスチックは「大きさが5mm以下のプラスチック」のこと。ポイ捨てやゴミ処理施設へ輸送される過程で環境中に出てしまった使用済プラスチックは、雨で流され最終的に海に流れ着きます。紫外線や波の影響で劣化していったもののうち、マイクロプラスチックとなるのです。
このマイクロプラスチックを減らそうとする目的で、世界各国でプラスチックを減らす動きが大きくなり、今年からフランスでは使い捨てプラスチック使用禁止となりました。
これからのプラスチック
国会は2019年12月、「2040年までに使い捨てプラスチック包装を市場からなくする目標」に賛成票を投じました。これが議会で決定的に採用された場合、使い捨てプラスチック包装の削減、再利用、リサイクルの目標は、2040年まで5年ごとに設定されることになります。
ブルン・ポアソン国務長官は、今回の禁止令を業界に送る「強力な信号」であり、フランスから「欧州の隣国」に宛てたメッセージであると考えています。「プラスチックの長期的な将来は、使い捨てではありえない」と彼女は主張しています。
ヨーロッパでは環境への問題意識が高い国が多い中、フランスは、他のヨーロッパ諸国に比べ、環境対策において遅れていると言われていましたが、「使い捨てプラスチック容器の使用禁止」という世界初の取り組みを盛りこんだことにより、新たな環境対策のリーダーとして存在感を示そうとしています。
私がおばあちゃんになるころには、プラスチック包装は珍しくなっているのだろうか