最近世界中で解禁の動きが目立ってきた大麻(マリファナ、Cannabis)。
フランスの大麻は個人使用が違法ですが、人気のある嗜好品の1つです。パリを歩いていると至る所でweedの独特な香りがしてきます。特に公園があるところや、セーヌ河沿いは若者たちが集まってピクニックしながら大麻を吸って楽しんでいるのをよく見ます。
警察は見て見ぬ振り。注意されたとしても今吸っているのを取り上げられるだけで済むそうです。
しかし、実際フランスでの大麻使用は、医療用途に限ってのみ許可されています。
フランスの大麻の歴史
1798年にナポレオン・ボナパルトがエジプトに侵攻したとき、エジプトはイスラムの国であったためアルコールは入手できませんでした。アルコールの代わりに、ナポレオンの軍隊はハシシを試すことにしました。
ハシシを摂取すると多幸感、幸福感、鎮静感を呼び起こします。 THCは、記憶や集中力、運動協調などの認知にも影響するため、ナポレオン軍隊によってハシシが大量に消費されるようになりました。その結果、ハシシの喫煙とそれを含む飲み物の消費は1800年10月に禁止されましたが、軍隊のほとんどの隊員はその命令を無視しました。1801年の占領が終わると、フランス軍は大麻の補給品をフランスに持ち帰りました。
パリの文学著名人と大麻
1800年代、ハシシュはヨーロッパのいくつかの文学界に受け入れられました。最も有名なのはClub des Hashischins(ハシッシュクラブ)で、大麻や薬物の消費に特化したパリのクラブでした。メンバーには、テオフィル・ゴーティエ、モロー・ド・トゥール、ビクター・ユーゴー、アレクサンドル・デュマ、シャルル・ボードレール、オノレ・ド・バルザックなどの文学的著名人が含まれていました。ボードレールは後にアヘンとハシシの影響下にある状態について1860年に「Les paradis artificiels」(人工楽園)を書いています。
フランスの医療用大麻
フランスは、1925年の麻薬に関するジュネーブ条約の署名国であり、1953年に医療として大麻を禁止しました。それ以来、大麻とカンナビノイドの輸入、販売、輸送、生産はフランスでは違法です。
しかし、1999年、フランスの市場では許可されていなかった健康製品のATU(一時使用許可)の発行を、Agence Française de Sécurité Sanitaire des Produits de Santé(AFSSPS)が認可しました。
現在、フランスでは大麻誘導体を医薬品の製造に使用できます。製品は処方箋でのみ入手でき、他のすべての薬物が効果的に苦痛を緩和できなかった場合にのみ処方されます。
医療用以外の大麻(およびその他の違法薬物)の所持に対するペナルティは、200ユーロの罰金です。
フランス人の大麻の消費
2012年、15歳から64歳までの1340万人のフランス人が大麻を試し、フランス首都圏の120万人が自分自身を常用者と見なしました。フランスは、月間消費量では欧州連合(チェコ共和国、スペイン、イタリアに次ぐ)で4位、大麻を使用したことがある人ではデンマークに次いで2位です。
OFDT(フランスの麻薬および麻薬中毒者観測局)が発表した報告によると、青少年の半数以上が大麻(ハシッシュ、マリファナ)経験者で、たまにという人も含めると、530万人が大麻の摂取者とのこと。
私の家の近所にあるパン屋さんのかわいい店員の女の子も、休憩時間は外のベンチでマリファナを楽しんでいるのをよく見ます。
フランス人の大麻に対する意見
2013年11月にCSAが実施した世論調査では、フランス人の44%が大麻の禁止は個人の自由の廃止であると述べました。
しかし、全員が肯定してるわけではなく、樹脂製の大麻製品のその独特な匂いを嫌い「ça sent le shit.」(shitの匂いがする)と表現されることもあります。
まとめ
フランス国内では違法の大麻ですが、みんな普通に吸ってます。堂々と歩きながら吸ってる人もいます。
以前シャトレ広場で座って休んでいたら、黒人男性が大麻を売りに来たことがありました。パリでの相場は10~20ユーロ/gだそうです。
実際のところ、個人で楽しむ分には全然問題ありません。中毒性も酒、タバコよりも低いしハイになって危険な行動を起こすこともありません。日本に帰ってから逮捕されるなんて事はよほどことをしないかぎりありえないでしょう。