みなさん、ボンジュール!
海外に住んで日本以外の国と比べてみると、日本人の働きかたの独特さに気づきます。
働きすぎと言われる日本の会社員ですが、毎日同じ職場で同じ同僚、上司に囲まれて仕事をしていると自分の働きかたについて疑問をもつことなんて無くなりますよね。今回は「普通」と思われていることから少し離れて、フランス人の働きかたを知り、違う視点で職場をみることができればいいなと思い記事を書きました。
接客態度の違い
日本
レジに列ができないように、スピードと丁寧さを兼ね備えた店員さんが迅速にお客さんをさばいていく。無駄話はしない。
仕事のメール、電話には素早く返事をする。
お客さんとの待ち合わせの時間は必ず守るか、遅れるなら事前に謝罪の連絡を入れる。
フランス
レジに列が並んでても急がない。他の店員、馴染みのお客さんと喋る。レジ打ちながら飲み物を飲んでも問題なし。日本から来たばかりの人は、「喋ってる暇あったら仕事しろよ!」と思うはず。
仕事のメール、電話は一週間返事を待つこともある。時には永遠に返ってこないことも。
お客さんとの待ち合わせの時間に担当者が遅れることもしばしば。
職場のフォーマルさ
日本
苗字でお互いを呼び合う。
敬語を使う。
ビジネスマンは、グレー、ネイビー、または黒のスーツを着て、夏でもほとんど常にネクタイをつける。キャリアウーマンはネイビーまたはブラックのブレザーを備えた白いシャツと、それに合うスカート、パンスト、そしてポニーテールなどの清潔感のある格好。
タトゥーや派手なアクセサリーは歓迎されない。
フランス
ファーストネームでお互いを呼び合う。
敬語を使わない。
ビジネスマンはグレー、ネイビー、青または黒のスーツを着て、ほとんどネクタイをつけない。キャリアウーマンは結構好きな格好をしている。
タトゥーやピアスがいっぱいあっても硬い仕事に就ける。
個人かチームか
日本
年功序列の階層を持っている傾向があり、そこでのグループは大事なものであり、指導者はえらいいと見られている。
チームに報告、連絡、相談する「ホウレンソウ」が何よりも大切とされており、チームでひとつの仕事に取り組むことが多い。
フランス
フランスの職場は一般に「構造化された個人主義」のシステムに従う。
マネージャーはチームワークと企業精神を養うことができるが、個人の自由を大切にし、彼らの一番の関心は自分のキャリアを促進すること。
労働時間の長さ
日本
一般的な労働時間は8時間で自分の仕事の進捗にかかわらず、定時まで職場にいなかればならない。上司がまだ働いていると、帰りづらい雰囲気がある。
休日出勤、サービス残業がある会社もある。
お客さん優先で始業終業の時間があいまいな店も多い。
フランス
一般的な会社では9時始業17時終業で労働時間は7時間と法律で決まっている。自分の仕事が終わったら帰る。まだ上司が働いているから帰りづらいということはない。職種によるが自分の仕事をやっていれば何時に行っても帰ってもいい。
休日出勤、サービス残業はない。
レストランではラストオーダー22:30だと、まったく店に入れない。従業員のためのルールをちゃんと守ってる。
時間に対しての考え方
日本
時間はしっかりと守る、始業時間の前には会社に来て仕事ができる状態にしておくのが当たり前とされている。
昼休みは昼食をとって少し休むと終わってしまうほど短い。
フランス
基本的にのんびりしている。会議も遅れて始まる。始業も時間きっかりに始まることはあまりない。
昼休みは1時間半。ずっと話をしながらお昼ご飯を食べ、そのあと食後のコーヒーを飲む。昼食時の1杯程度のアルコールも問題ない。昼休みにサイクリング、ジムやプール、ショッピングに行く人もいる。
勤務時間後のつきあい
日本
仕事の後に集団で飲み会に行く。必ずしも必要ではないが、ある程度社会的に参加が期待されている。さらに強力なチームの関係を築き、昇進のはしごを登るのに役立つ方法でもある。
フランス
仕事の後の飲み会は基本的にない。仕事が終わったらまっすぐ家に帰る。
有給休暇の取り方
日本
入社1年目から有給休暇はあるが、取れない雰囲気がある。多くの労働者は休暇を取るたびに罪悪感を感じることがある。
GWやお盆休みなどの大型連休がある。
フランス
バカンス(長期休暇)が誰でも取れると思われているフランス人だが、実は入社1年目は長期休みが取れず、有給休暇は0日。フランスでは前年度に貯めた有給休暇を次の年に消化するという決まりなので、2年目からは普通は6週間の長期休暇が取れる。働く期間が1年未満の時は、辞めた後に有給休暇分の日当が払われる。会社によっては1年目でも、数日間の有給が取れる会社もある。
GW、お盆休みなどの国民的大型連休はない。
まとめ
フランス人の働きかたをみると、こちらが客の立場だとイライラすることが多く日本の接客態度の素晴らしさがとても魅力的なものに映ります。特にスーパーのレジでの計算、問い合わせのメールの返信速度は素晴らしいですが、そのために従業員が自分の休憩時間を犠牲にしている可能性もなきにしもあらずです。
働く立場として考えた時、従業員は持っている権利を全員が当然使うことができ、時間にはルーズだけど働きかたのルールはきちんと守っているフランスの会社員は、人生が楽しそうだなと思います。
日本とフランスの働きかたに一長一短があるのは当然のこととして、お互いによい部分を取り入れることができればいいですね。
OECD(経済協力開発機構)の調査(2018年)によると、1時間当たりの労働生産性は日本が46.8ドル(4,744円)。これはOECD加盟諸国36カ国中21位です。対してフランスは72.2ドル(7,319円)で第11位。ちなみに1位はアイルランドで102.3ドル(10,366円)でした。
労働生産性を考えた時に、日本の働きかたにはもっと簡潔にできる無駄が多いのかもしれませんね。