性別不明のりんごちゃんをフランス語で話題にしようとしたら無理だった

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みなさん、ボンジュール!

普段、日本のお笑い番組はほとんど見ない私。先日たまたま見つけた「りんごちゃん」というモノマネ芸人さんの性別についてガイックと意見が割れました。

 

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ちんちんにセンサーを持つ男

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ガイックのちんちんセンサーすげぇでエピソードは終わりのつもりだったのですが、

  • 「りんごちゃんはりんごちゃん!」
  • 「性の在り方は自分にしか決められない」
  • 「他人がとやかく言うことではない」

という厳しめのコメントがあり、正直訳がわかりませんでした。

詳しく調べてみると、彼女りんごちゃんは自分で自分の性別を「りんごちゃん」とし、男か女かについては触れちゃいけないタブーだったのです!

やっちまった。。!

「性別:男」とだけ調べて満足していた私は、りんごちゃんはてっきりはるな愛さんのような「実はおっさんです」で笑いをとるキレイめニューハーフ芸人だと勘違いしてました。

フランス語で話す「りんごちゃん」

りんごちゃんの性別はりんごちゃんらしいということをガイックに伝えると、フランス語を話す時に性別が「りんごちゃん」は通用しないとのこと。

確かに、その通りです。

フランス語には女性名詞、男性名詞があります。椅子やテーブルにも性別があるのに、りんごちゃんだけ特別にりんごちゃん名詞にはなりません。

例えば

  • Qui est Ringo-chan?(りんごちゃんってだれ?)

-  C'est une/un humoriste. (お笑い芸人(女性名詞)/お笑い芸人(男性名詞)だよ)

※「コメディアン」はフランス語で「comédien」(actor)という意味になります。

 

  • Qui est Ringo-chan?(りんごちゃんってだれ?)

-  C'est l'imitatrice /l'imitateur.(モノマネ芸人(女性名詞)/モノマネ芸人(男性名詞)だよ)

という会話は性別がりんごちゃんでは成り立ちません。

だからフランス人は日本人よりもその人(名詞)の性別にこだわります。

用語の説明

難しい話をするので、まずは用語の定義を確認しましょう。

身体的性

身体的性には、一般的に妊娠16週目(妊娠5ヶ月目)頃を過ぎたあたりから産婦人科でのエコー検査(超音波検査)で診断することで判明する男と女、新生児の2000人に一人いるというDSDs(インターセックス、性分化疾患)と呼ばれる、「男性ならばこう、女性ならばこうでなければならない、と社会で考えられている体の構造とは生まれつき一部異なる発達を遂げた体の状態」の人がいます。

性表現

性表現とは、見た目の「女らしさ」「男らしさ」です。どんな表現が 「女らしい」か「男らしい」かは社会によって異なることなどから、 性表現は社会的な性別といえます。

性自認

性自認とは、「自身の性をどのように認識しているか」という自己意識の概念です。性自認と身体的性(身体構造上の性)は関係がありません。また、性自認と混同しやすい性的指向とは、「どんな性を好きになるか」を指す概念です。

参照:LGBT法連合会

ここで話しているのは性自認ではありません。鉛筆だって、自分が男になりたいとは思ってなかったでしょう。遠い昔にフランス語に性別をつけた人が勝手に決めたのです。私たちだって自分の性を選んで生まれてきたわけではありませんよね。

「私たちがりんごちゃんの性別を決めるのはおかしい」という人がいますが、誰も決めてません。りんごちゃんは勝手に男(身体的性)として生まれてきたのです。

本人の性表現は可愛い女の子で、女性に見られたら嬉しいと思うので女性名詞を使ってあげたほうがいいと思いますが、本当に「女性にも男性にもなりたくない!自分はりんごちゃんです!」という強い主張(性自認)があるのであれば(もしくは周りがそう受け取りたいのであれば)フランス語を使ってりんごちゃんを説明することはとても難しくなります。めんどくさいですが、言語に性別のある国では毎回「Ill/Elle」「Un/Une」「Le/La」「De/Du」のスラッシュつきの会話をするしかなさそうです。

また、仮にりんごちゃん本人がフランス語を話すようになったときはもっと大変です。スラッシュが多すぎて会話にならないでしょう。

古い考えかもしれませんが、お笑い芸人は「デブなのに素早く動ける」、「可愛い女の子に見えるのに実はおっさん」というような、思いもよらない意外性のあることから「笑い」を生み出していくことを生業にしているのではないでしょうか?だとしたらりんごちゃんのいじり辛さは自分で自分の首を絞めているような。。

進化する言語

物事を分類して簡潔にすることに重きをおいたフランス語は、両方の性別と一致する形容詞/動詞/代名詞をつくることができなかったため、どちらかを選択する必要がありました。しかし、なぜ本質的に男性的または女性的と思われる特定の名詞が完全に反対のカテゴリーに分類されるのかは、まだ不明です。

通常「-an」で終わる名詞の90%は男性名詞なので、言葉だけで考えたら「Ringo-chan」は男性名詞になるでしょう。

ドイツ語には男性、女性の他に「中性」が存在するらしいのでドイツでは受け入れやすいかもしれないですね。

フランス語は、いくつかの職業では昔、その職業に就く女性がいなかったことから男性名詞しか存在しません。現代ではすべての職業は、男性と女性の2つの別々のバージョンではなく、単一の単語でなければならないと考えるフェミニストも多くいます。

また、言語は進化するにつれて、それほど複雑ではなくなるという言語理論があります。日本語でも最近は「やばい」のひとことで全てを表すことができますよね。

これからの未来、フランス語の性別はなくなりりんごちゃんのような人に優しい言語になっていく可能性はあります。

言語には昔に作られた男性優位の性別が残っていますが、幸運なことに、今日のフランスの法律では男性と女性の市民の平等な権利を認めています。社会的にいえば、若い世代は特に理論だけでなく実際にも、男女共同参画にずっと開かれていると感じます。たとえば、年配の世代は男性が家事を手伝うべきだとは思わないかもしれませんが、私が知っている若いフランス人の多くは家事を手伝い、子供の世話をし、家族との時間を大切にしています。

「イクメン」なんて言葉が存在しないこの国の方がよっぽど、「他人の性に干渉していない」のではないでしょうか?

個人の身体的性、性自認について議論するよりも、社会に潜在的にある性差別について議論した方が建設的です。

まとめ

今回はフランス語における言語の性について最近話題の「りんごちゃん」をテーマに取り上げてみました。

日本語ではグラデーションのある意味を持った言葉を表現するのに名詞に性別がないぶん、便利かもしれません。

りんごちゃんの性自認なんてなんでもいいです。ただ、男女どちらでないとフランス語で話すことは難しいということです。

フランスで性自認がない人たちはフランス語では男性名詞、女性名詞以外の言葉がないため自分がより近いと思う性自認で話します。それが男から女、女から男に変化しても問題ありませんが、それ以外で話すことは不可能です。

これからはLGBTQ+の人も増えてくるので、話すとしたら勘違いからのトラブルを避けるため「性自認」と「身体的性」という言葉を加えて話した方が良さそうです。

 

 

フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルは、どのように生きるかの態度表明が自分の人生を掴み取っていく上で重要だと言いました。

 

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